- 揚がる
- あがる【上がる・揚がる・挙がる】(1)人や動物が高い所へ移動する。 《上・揚》⇔ おりる「屋上に~・る」「演壇に~・って話をする」「階段を~・る」(2)水中や水上から陸地に移る。
「プールから~・る」「陸(オカ)に~・る」
(3)庭や土間(ドマ)から部屋へ入る。「玄関先ではなんですから, どうぞお~・り下さい」
(4)屋敷に奉公人として住み込む。⇔ さがる「お屋敷に奉公に~・る」(5)学校に入学する。 また, 進級する。「四月から小学校に~・る」「この成績では二年に~・れない」
(6)物が低いところから高い所に移された状態になる。 《上・揚》「日の丸が~・る」「夜空に花火が~・る」「幕が~・る」「手が~・る」(このときは「挙る」とも書く)(7)水の中にあった物が水上や陸や船上に移された状態になる。 《揚》「積み荷は今日中に全部~・るだろう」「港にはカツオが大量に~・った」(8)天ぷら・フライなどが, ほどよく熱が通ってできあがる。 《揚》「海老がからっと~・る」(9)神仏の前に供物(クモツ)が供えられる。 《上》「神棚に御神酒(オミキ)が~・っている」(10)定形のないものや潜んでいたものが, 出現する。 出る。(ア)煙・炎などが上の方に出現する。 《上》「山頂から噴煙が~った」「火の手が~・る」(イ)大きな声が発せられる。 《揚》「大喚声が~・る」「反対の声が~・った」(ウ)犯人がつかまる。 また, 証拠が発見される。 《挙》「犯人はまだ~・っていない」「証拠は~・っている」(エ)候補者としてその名がとりざたされる。 また, 一覧表に名が掲載される。 《挙》「候補に何人かの人の名が~・っている」「次期会長の下馬評に~・る」(オ)利潤やよい結果が生ずる。 《上・挙》「アパートから毎月家賃が~・る」「多大の成果が~・る」(11)低い段階・程度の物事がより高い段階・程度に変化する。 高まる。 《上》⇔ さがる⇔ おちる「物価が~・る」(この場合は「騰る」とも書く)「人気が~・る」「昼間は気温が三〇度まで~・る」「タクシーのメーターが~・る」「二学期は成績がだいぶ~・った」「地位が~・る」「男振りが~・る」(12)仕事・作業・学習が完了する。 仕上がる。 《上》「この仕事は今月中には~・りそうにない」「バイエルが~・ったらソナタをしましょう」(13)(「…であがる」の形で)費用・日数などがその範囲内ですむ。 まかなえる。 《上》「一人当たり八千円で~・る」「思ったより安く~・った」(14)雨や雪などが降りやむ。 《上》「雨が~・ったあと虹(ニジ)が出た」(15)それまで継続的に動いていたものが機能しなくなる。「脈が~・る」「バッテリーが~・ってしまった」
(16)双六(スゴロク)・トランプ・麻雀などのゲームで, 完了する, また勝負がつく。「双六で妹が最初に~・った」
(17)〔御所が北部にあったことから〕(京都市で)市内の北の方へ行く。⇔ さがる「四条河原町を少し~・った所」→ 入る(18)妓楼(ギロウ)や寄席(ヨセ)へ, 客として入る。 《揚》「彼楼(アスコ)へは三四(サンヨ)たび~・つたことがあるのだから/安愚楽鍋(魯文)」(19)〔「頭に血が上がる」ということから〕他人の目を意識して, 平静でいられなくなる。 《上》「人前だと~・ってしまってうまく話せない」(20)「食べる」「飲む」の尊敬語。 動作者を敬っていう。 めしあがる。 《上》「たくさん~・って下さい」(21)他人の家を訪問することをいう謙譲語。 参上する。「お宅に御相談に~・ってもよろしいでしょうか」「お邪魔に~・る」
(22)時代を古くさかのぼる。「~・りても…すべき事の限り仕うまつりたる人候はず侍り/栄花(鶴の林)」
→ 上がりたる世(23)他の動詞の連用形に付けて用いる。 《上》(ア)動作が完了して動作の対象が完全にできあがることを表す。「招待状が刷り~・る」「きれいに染め~・った布」(イ)変化がこれ以上ないほど進むさまを表す。 すっかり…する。 「空が晴れ~・る」「一喝されてちぢみ~・る」
〔上代からの語。 「あげる」に対する自動詞〕‖可能‖ あがれる︱慣用︱ 意気が~・株が~・軍配が~・手が~・脈が~/頭が上がらない・梲(ウダツ)が上がらない・枕が上がらない上がりたる世(ヨ)遠い昔。 上代。 あがりてのよ。「雲いかづちをさわがしたるためし, ~にはありけり/源氏(若菜下)」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.